『一気に読めちゃう楽しいBL!』
まず一馬さんのカラーが綺麗でシャープで作品の世界観にピッタリ!
男がちゃんと「男性」として描かれていて入りやすい。
鳩村衣杏さんの作品は初めて読んだので他の本を知らないのですが、
こちらは最初から最後まで一気に「面白い!楽しい!」とページが進みました。
主役の巽が、本来はゲイのタチなのに、一途で年下ワンコ裕城にどんどん引きずられて
心も体もオープンに許していく過程が自然に語られて感情移入しやすいです。
巽が本来はしたたかな青年で、最初はちょっと嫌な計算高い面を見せているのに、
裕城との関係が深くなるにつれて、相手の心を思いやるように変化していくのも○。
変になよなよしている受けが余り好きでないので、年上受けならこのくらい強く無いと。
しかも攻めだった人が受けになるのだから、余程の成長が無いと納得出来ないですよね。
社会人としてキッチリ真面目にお堅く生きている巽が、裕城に対して「俺は年上なんだから」と
常に意識しているスタイルが、次第に無理な関係になってしまってひずみが生じた時、
「俺だって芸能界には5歳からいて、色々経験してるんだ!いつまでも年下扱いするな」と
裕城が言い放った時、初めて二人は対等な立場に並んだのではないかと思います。
とにかく男性同士なので、プライドやポジション的に同等でいたいという二人の意見が
凄くリアルに伝わって来て、彼らの一生懸命な生き方はとても好感を抱きますね。
後に出演する巽のバイト先のゲイバーオーナー越智さんも凄く魅力的な男性で、
ちょっとクラリとしてしまいました。
二人が最終的に下す生活スタイルの条件もとても良い。
ハッピーエンドでお決まりかもしれないけど、文章も流暢で読後感が爽やか。
裕城がハリウッドでビユーしてからの続編もかなり読みたい気がします!!